認めることはつらい作業? ~否認について~

 アルコール依存症は否認の病と言われます。否認は自分には飲酒問題はない、アルコール依存症にはなっていないと自身の病状を
認められないあるいは認めようとしないことであり防衛機制の一つであります。
 
 これまで飲酒によって失ってきたものを振り返ることはつらい作業ですがこれを経て認めていかないことには治療の受け入れが出来ず
自身の問題を前向きに考えられなくなります。
しかしどこからがアルコール依存でどこまでは普通の酒飲みの範囲かという線引きはなかなか難しいものです。
 
 アルコール依存症には診断基準なるものがあり、長期間アルコールを摂取し続けることにより、アルコールを摂取しないといられなくなる。
一度飲酒しだすと止まらなくなり過度の飲酒をし続ける。
 
 アルコール離脱症状が出現し幻覚、妄想によって不穏、興奮し騒ぎを起こすなどの振戦譫妄(しんせんせんもう)等があります。
 
 アルコール依存症かどうかは酒が切れてきて離脱症状の振戦譫妄が出てくれば、これはもう間違いありませんが本人にとっては意識のない中での
出来事であるので覚えていないことが多く、あの時あんな事になっていたよと周りから言われて知ることになります。
  
 また、アルコール依存症と診断されている人の中で振戦譫妄が出る割合は1割くらいであり、知らぬ間にかなり病状が進行している場合もあります。
  
 随分前のことですが断酒会で記憶障害を起こしたある患者様が
「問題が起きた時、飲酒することは解決方法にならない。後で後悔することの方が多い」ということを皆の前で発表していました。
 
 飲酒することで更なる問題が生じ悪循環に陥ってしまうということを自身で気が付いたことは大きな一歩となります。
自身の飲酒に問題があることをどの段階で自覚するか、問題意識するかによってその後の治療展開が変わります。否認という厚い壁を打破しなければ先には進めません。
 
 アルコール依存症の治療には薬物療法もありますが、有効なのはアルコール依存症を抱える人たちの自助グループ(断酒会やAA) に参加することです。
 
 予防は治療に勝ると言われており、アルコール依存症の発症リスクが少ないとする1日のアルコール摂取量は、
日本酒1合、ワイングラス2杯、ビール500ml程度に相当します。1日のアルコール摂取量がこれ以上になるとアルコール依存症のリスクが高まると
されていますので、適量を心がけるようにしましょう。
 
院長