今回は、初めて出会った患者様とのお話をしたいと思います。
その方は地域で生活をしていましたが、身体的な事と家庭で生活することの調整が
困難という事で入院となりました。
入院して数日後、その方のベッドサイドに行きました。
「初めまして〇〇さん、私は作業療法士の△△です。これからよろしくお願いします。」と
挨拶をしました。チラッと私の方を見て目を逸らし「うん」と頷いてくれました。
しかし、入院することがなかったらしく毎日ベッドで臥床しているので病院の職員さんにも
依頼して作業療法への参加誘導をお願いしました。
数日後、初めてその方が他の患者様と一緒に作業療法に来てくれました。
「〇〇さん、一緒にぬり絵やりましょう。」と声をかけましたが私をチラッと見るだけで
居心地の良い場所を見つけると黙ってぬり絵を始めました。
病棟に帰った時に「〇〇さん、私△△といいます。また明日同じ場所で作業療法やりましょうね、
待ってます」と言いましたがチラッと見て「うん」と頷いて病室に帰っていきました。
次の日、「私の名前覚えてくれましたか?」と聞きましたが首を振って返事をしてくれませんでした。
ある日、もう一度聞いてみたら「△△さん」ボソッと答えてくれました。
名前を覚えてくれた事はその方との関わりにおいて大いなる前進でした。
いつもは、作業療法室に来られた時の患者様の表情や挨拶の声、様子の違いなどで普段との違いを
感じ取って声をかけたりしていますが、逆に私の体調不良や気分を見抜いて「今日どうしたが?
疲れちゅうろ?大丈夫?」と声をかけて下さる方もいて、作業療法室では沢山の方との出逢いがあり
沢山の事を学ばせてもらっている事を実感しました。
作業療法室が入院生活の中で「作業療法室に行って楽しかった、また行きたい。」と思ってもらえる
憩いの場所になるように患者様と一緒に毎日笑顔で頑張っています。
精神科作業療法士