漢方薬の服用法について概要を説明します

◆一般には食前または食間などの空腹時

・少量で激しい作用をもつ成分が含まれるものは徐々に吸収させるためです。

(※下記注:空腹時のほうが消化管での吸収が緩徐になる傾向があります。)

・漢方薬は服薬量が概して多いため満腹では飲みにくいこと、また食後では食物や西洋薬との相互作用も出やすくなるためもあります。

 

◆食前や食間の服用はつらい、という場合には原則として食後

・服薬してこそ効く。服薬順守(コンプライアンス)が大切です。

・食前で胃腸障害を呈したら、食後にしましょう。

・乳糖不耐症のため、「お腹にくる」場合は、空腹時に服用すると訴えが多く、食後にすると症状が消えることがあります。

・食前の飲み忘れの際は、食後でかまいません。

 

◆その他の例外

・頓用の漢方薬は、服薬時間は関係なしです。

・味・香りが嫌な場合は、オブラートに包む手があります。

・併用薬を調べ、胃酸を中和する成分の入った胃薬を服用している場合は、同時併用しないで、漢方薬は空腹時か食前にして、

中和成分の胃薬は食直前か食後にする手があります。

・便秘の頓服、不眠薬、軽度の初期の風邪の場合は就寝前がいいです。

 

 

※空腹時のほうが漢方薬成分の消化管での吸収が緩徐になる機序

・胃内のPHは胃酸の作用で常に酸性ですが、食前や食間の空腹時にはPH1~1.5で、食事の後ではPH4~5と中性に近づきます。

食後2~3時間たてばまた元の酸度に戻ります。

・漢方薬成分に含まれるアルカロイドには激しい作用をもつものがあります。

(血圧上昇、頻脈、不整脈、動悸、発汗、食欲低下、腹痛、下痢、めまい、嘔気、のぼせ、などを起こしうる)。

・空腹時など胃内PHが低い時にはアルカロイドのアミノ基は-NHにイオン化し水溶性が増し、

脂質でできた消化管の細胞膜を通りにくくなり、アルカロイドの吸収は遅くなります。

よって作用の激しい成分を含む漢方薬は、血中濃度の急激な上昇を抑えることができることより、空腹時服用が安全です。

逆に中性に近づくと吸収が促進されます。

 

PHが酸性に傾くとカルボキシル基は-COOから-COOHになり、PHが塩基性に傾くとアミノ基は-NH3+から-NH2となります。

 

医局員